認識の高まった遺伝子治療を取り巻く問題

11月 27th, 2015

未だに試行錯誤の段階にあることから実施例は少ないものの、遺伝子治療は少しずつ臨床応用されるようになってきています。現状として実施する際に取られる基本的な方法は、患者から摘出した細胞に対して正常な遺伝子を導入し、その細胞を患者に戻すというものです。これによって患者は正常な遺伝子をもつ細胞を獲得することができ、その細胞が定着することによって疾患の治療が実現されることになります。細胞を生きたまま摘出し、遺伝子の導入を行い、培養して増やした上でそれを患者に移植するという高度な技術を必要とすることから、それを担える医療機関も医師も少ないのが現状です。
こういった治療法は先天性の遺伝病の治療において有効性が期待できる場合があり、実施されるのもそういったケースにほぼ限定されます。その代表例として最も初期に行われたのが免疫不全症治療であり、ADA欠損症と呼ばれる患者の治療において遺伝子治療が実施されました。1990年にアメリカで行われたのが最初と言われていますが、その後に日本においても実施され、日本における遺伝子治療の認識を高めることにつながっています。対象となる疾患も増えてきているものの、現状として技術的な難しさから実施に踏み切れないことも珍しくありません。遺伝子導入におけるプロセスが副作用の原因となることも懸念されていることから、新しい技術の開発が精力的に行われているのが現状であり、臨床応用が一般的になるには時間がかからざるを得ないでしょう。

◆◇◆◇参考サイト◆◇◆◇
遺伝子治療の今