技術革新を担う研究者の必要性

12月 10th, 2015

遺伝子治療によって遺伝病が治療されたという報道がまれに見られるようになってきました。1990年にアメリカで実施されたのをきっかけとして臨床現場で実際に試されることが多くなってきたからです。末期がんを中心として数千例の治療が世界中で実施されてきており、その大成功事例というのはニュースでも広く報道されるようになっています。技術的な難しさが問題視されてきているものの、実施例が増えてきたことによって知見も蓄積されてきており、一時代前に比べると遺伝子治療の実施に踏み切りやすい状況ができているのが現状です。しかし、実際に実施できる治療というのは遺伝子が欠損している場合にその機能を補うというアプローチであり、遺伝子の状況に応じて修復を行ったり、過剰になってしまっている物を減らしたりするといったことは実現するに至っていません。こういった技術を臨床応用可能にするということは重大なことであり、医療への貢献をしていく上ではその研究を担っていく視点も大切です。大学や研究所で働く研究者となって、臨床応用できるような遺伝子組み換えの技術を開発することができれば、より多くの患者を救える医療技術の開発につながります。病院などで臨床研究に努めれば大学や研究所で行われてきた基礎研究を現場で活用していくことも可能でしょう。遺伝子治療のための研究を行っていく人は遺伝病の患者からも医療現場からも求められていることであり、将来の仕事として考慮に値するものです。